わらしげちょうじゃの日記

人生笑顔の分だけ成功する

*

ハゲワシと少女とスマホ〜スマホ撮影への批判に関して〜

   


「隣のトトロのパンフレットに出てくる少女がサツキでもメイでもない女の子が写っている」という事実を知って、
愕然としたシゲです。

IMG_4362-2.JPG

これ!

今回はスマホ時代の撮影モラルに関して書きます。


この前、ある人が集団的自衛権に反対して新宿で焼身自殺をした際に、それをスマホで撮影し、Twitterでアップロードする人がたくさんいました。

それを見て「なんて酷いんだ、そんな人を晒し者のようにするなんて」というコメントが流れ、
最後には「日本人のモラルは何処へ消えたのだろう」と嘆息をつく人もいました。


一般民にインターネットが普及して、今までの対応、法律では解決出来ない問題が多く噴出しています。
この問題もそんな中の一つです。
盗撮はれっきとした違法ですが、このような事故を写真に撮ることは違法ではありませんからね。



フードポルノもそのような例の一つでしょう。
美味しそうな食事の写真を撮影してFacebookやTwitterに投稿し、見ている人が食欲に駆られることが、
ポルノ画像を見た時に性的欲求に駆られてしまうことと類似することからその名前がつけられています。

私なんかはそんな画像を見ていると「へ〜そんなレストランがあるんだ。美味しそうだな」と素直にフードポルノの
魅力にやられてしまうのですが、

この記事のようにシェフが客の撮影に不快感を示したりすることがあるのだそうです。

これも上の画像の件と同じように違法ではありません。
店側は客が撮影することを止めることは出来ませんし、罰則があるわけではありません。

このフードポルノに関しても「料理に集中するべきだ。レストランで料理を撮影するなんて非常識だ!」という人や
「これくらいいいじゃないか」と思う人で意見が割れています。
それに加え「許可をとって撮影すれば良い」や「料理皿を持ち上げて撮影するのはダメ」とか条件を加えるともう、
色々な意見がぐちゃぐちゃ混ざり合い何がなんだかわかりません。

事故現場や食べ物の撮影などは携帯電話が普及されている頃から盛んに行われましたが、それはあくまでクローズドな世界で共有するものだったため、撮影のモラルに関しては深く言及されることはありませんでした。

しかし、スマートフォンが携帯電話にとって変わると写真撮影はインターネットとくっつき、
その撮影に関するモラルを批判する人達が出てきました。
そして、その人達が声高に(時には発狂的に)そのモラルを叩く、炎上という現象が起きるようになり、バカッター事件などを引き起こしました。

このような中でスマホ撮影に関する問われる機会が多くなった今日この頃ですが、実はこれは今に始まったものではなく、特にジャーナリズムの世界では昔から議論されていた問題なのです。


1994年4月。
1ヶ月前にアメリカ中で話題になった、ある1枚の写真がピュリッツァー賞の候補作にありました。
200枚の候補作からこの「ある写真」は選ばれ、その撮影者であるケビン•カーターは一躍時の人となりました。

その写真の名前は「ハゲワシと少女」。うずくまった少女のあばらは浮き出て、手足は棒切れのようになるほど痩せ細っている。
その後ろからハゲワシがその少女の命が尽きるのを待っているという構図の写真です。

この写真のタイトルと構図を聞くだけで思い出す人もいるがしれません。
わからない人は下記を見てください。



IMG_4363.JPG

この写真を見たことありませんか?
「ハゲワシと少女」と名付けられたこの写真は日本の教科書にも載っているため、今の20代の多くの人は1度は見たことがあるでしょう。

この写真の衝撃は、ジャーナリストに対する賞賛と共に「写真なんか撮っている場合じゃないだろ。何で少女を助けなかった」という激しい批判も生みました。(実際はうずくまっているだけで、その後立ち上がって去っていったとケビンは主張)

3ヶ月後、そのバッシングのせいか、元々精神的に不安定だったせいかわかりませんが、このケビン•カーターは車内で遺体となって発見されます。

これは単なるアフリカの貧困に対する問題提起だけではなく、「報道とは何か」という問題について語る際に必ず言及されるケースとなりました。

上の反論のように、「少女の命が大切だ」という正論を言うことは簡単です。

とても、とても簡単なことなのです。

「もしその写真を見た後なら」


この少女がいたスーダンのアヨドという村では伝染病により毎日10人から15人の子供が亡くなっていたそうです。
多くの人はこの写真を見るまではその事実を知りませんでした。

もし、カーターが写真を撮らず、彼女を助けていたらどうでしょう?
もしカーターが少女に駆け寄り、水を与え、食料を与えたら?


彼女を助けることが出来るかもしれませんが、世界中に伝染病で苦しむ村があることを伝えることは出来なかったはずです。
事実、この写真を公開した後はこの伝染病で苦しむ村に多くの寄付が集まりました。
間接的にしろ、1人の少女の写真がその他の多くの子供の命を救ったのです。


「人命か、報道か。」このような議論は常に行われています。
特にジャーナリズムの世界では人の命が消えゆく瞬間、血飛沫が飛び散る瞬間撮影することも多く、そのような葛藤に悩まさせることもあります。

何でもかんでも「人命優先」という人は良いでしょう。だけど、その「人命優先」という意見に辿り着くための根底の情報は、何処かのジャーナリストが撮影したということを忘れているような気がします。


「一枚の写真が歴史を変えることもある」

この言葉はジャーナル紙のDAYS JAPANという雑誌のキャッチフレーズです。
写真というのは圧倒的に訴求力が強く、人の心を揺さぶるものです。
「関ヶ原の戦いで何万人が死んだ」っという情報を見ても「ふーん」と鼻くそをほじくりながら思うかもしれませんが、戦争で家族を庇って銃殺されかけている中東の男性の写真は心に残るはずです。

残念ですが「関ヶ原の戦いで沢山の人が死にました。そんな不幸な戦争が二度と起きないように募金してください」と言っても誰も募金なんてしませんが、悲惨な映像や写真を見たら募金しようとするのです。


「現状を変えることは許されず、その現状の1面を冷徹に切り取る職業である。だからカーターは少女が死に、ハゲワシがその肉を啄むまで見届けるべきであった。残酷に聞こえるが、それがジャーナリズムだ」と言う人もいます。



写真というのは、矛盾や対立、批判など様々な問題を引き起こしますが、多面的な出来事の1面を切り取った「1面の真実」なのです。
それを見て、賞賛、批判するのは結構でしょう。
ただ、その1面の真実、それにそれを切り取った撮影という名の行為を批判するべきではないと思うのです。

今回の焼身自殺の件だって、撮影を批判した人がいましたが、
もしその焼身自殺だって、写真がなかったら、知らなかっただろうし、気にも留めていなかったはずです。



もちろん、盗撮などの犯罪行為はするべきではありませんが、
私達が社会問題として取り上げることが出来るのは、その写真や映像が下地にあることを忘れてはいけません。


それがピュリッツァー賞だろうが、スマホで撮った写真だろうが同じです。
明確な犯罪行為以外は「モラルがー」と言って批判するべきではないでしょう。


では!

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